6.紙(枚葉)の必要枚数と取り都合

印刷用紙


紙の形状を大別すると,枚葉といわれる1枚1枚が切り離されたシート状のものと,トイレットぺーパーのようにロール状になった巻取紙の2種類があります。枚葉紙で刷る印刷機,巻取紙で刷る印刷機を輪転機といいます。(詳細は「第9章 印刷」を参照)。
この項ではまず,枚葉紙(シート)の計算と注文方法についてお話しましょう。

1. 紙の取り都合の決め方
本の判型(仕上り寸法)・ページ数・部数が決り,用紙の銘柄が決りますと,購入する用紙の寸法(四六判・B判・菊判・A判)などを決めなければなりません。
購入する用紙の寸法を決めるには,印刷する機械の寸法(四六判の印刷機か,四六判裁の印刷機かなど)を決めて,印刷する紙の寸法に合せて面付を計算して紙の寸法を確認します。
できあがり寸法と購入する紙の寸法との関係を調べ,どの寸法の紙(四六判・B判など)を買ってどういう面付にするかを計算することを,紙の取り都合を調べるといいます。
一般的にはA判の仕上り(A4判・A5判など)にはA全判の紙を使い,B判の仕上り(B4判・B5判など)にはB全判の紙を使います。しかしJIS規格の仕上りでも,次のような場合には取り都合を調べる必要があります。
(1)無線トジ製本の場合(ノドに裁ちしろが必要な場合)
(2)B6判・A6判など仕上り寸法が小さい場合(裁ちしろの箇所が増えます)
(3)小さい印刷機で印刷する場合(印刷機のクワエしろに,まわりの余白が必要)
以上のほかに,四六判仕上りや,菊判仕上りのものにはそれぞれ四六全判・菊全判の紙を使うのは当然です。

図8・12 A列・B列の紙の取り都合

また,表紙やカバーなどはその本の大きさのほかに,背幅分や折り返し分が必要ですので,印刷寸法は変形になります。扉やペラものの口絵などは四方に裁ちしろが必要ですので,取り都合を調べる必要があります。
部数の少ないものを全判で刷ったのでは能率が悪くてコスト高になります。また小さいサイズの印刷機で刷ると印刷機のクワエ分(クワエの分10ミリぐらいは印刷できません)を計算に入れて,紙の寸法に不足がないかどうかをよく確認するようにしてください。とくに四六判かB判かを決める場合などは,細かい取り都合の計算をしてみる必要があります。

2. 紙の必要枚数の計算と注文の仕方
印刷物の仕上り部数・サイズ・ページ数が決まり,紙取り数が決りますと紙の必要枚数を計算しなくてはなりません。必要枚数の計算は,次の式に当てはめればOKです。
1冊のページ数/全紙1枚から取れるページ数× 印刷部数+(予備紙)=必要枚数×1/1,000=連数
紙の取り都合は,その判型・印刷機・コストなどを考慮して決めますが,紙の計算は原則として,全判(全紙)で計算をします。したがって計算上は全判で何枚という数を注文しても,現実に納品される場合は印刷会社の都合で印刷サイズに合せて,半裁や4裁の大きさになる場合もありますので注意しておきましょう。

〔用紙の使用枚数計算例〕
では実際に次ページ図8・13に示した要領の書籍を受注し,紙販売店に用紙を発注すると仮定して,本文用紙・表紙用紙・カバー用紙・見返し用紙の必要枚数を計算してみましょう。
まず,ここでは予備枚数を入れず,正味枚数を計算します。予備枚数についての考え方と計算方法については,このあとで述べます。

(1)本文用紙
B5判で本文ページは120ページ,B半裁で5,000部印刷するとします。
・用紙銘柄:上質紙
・大きさ:前述しましたようにB判の仕上りには,B判を利用するのが効率的ですから,大きさはB版とします。しかし,実際には指定の紙のB判がメーカーの商品としてあるかどうかを確認する必要があります(図8・14参照)。
・紙の目:仕上りはB5判ですから,天地257ミリの方向に目が走っていればノドと平行ということから,そのまま全紙に置き替えますと全紙の長辺に平行に目が走っている紙,タテ目ということになります。
・厚さ:四六判70kgの紙(1,000枚で70kgの重さの紙)
・必要枚数:前述の公式に当てはめて計算しますと,
120/32×5000×1/1,000=18.75(連)
となります。この18.75連を正味連数といいます。
・1梱包250枚として75梱包が納品されます。

図8・13 造本体裁例(製本要領)
上記の造本体裁にしたがってそれぞれの紙の取り都合を示したものが図8・14,15,16,17,18です。

(2)表紙用紙
B5判の背幅10ミリの4ページ分の表紙。紙が厚いので4裁(全判の4分の1)片面1色印刷。
・用紙銘柄:レザック75
・大きさ:四六判(図8・15参照)

図8・14 本文用紙の取り都合

・紙の目:タテ目。表紙も同様に仕上ったときに本の背に平行になるようにします。
・厚さ:四六判の175kg
・必要枚数:
2/16 ×5,000×1/1,000=0.625連
表紙はB5判2枚と背幅がプラスされた天地257ミリ,左右374ミリのB4判寸ノビと考えればよいわけです。B4判は全紙より8取,16ページ分が取れます。
・レザックのような厚い紙は1梱包100枚ですので,6梱包と25枚ということになりますが,1梱包以下の端数買いは1枚当たり非常に高くなりますので,実際には7梱包(700枚)を購入します。価格によっては,650枚購入ということも考えられます。

(3)扉用紙
B5判の裏表2ページ。4裁で片面に印刷。
・用紙銘柄:コート紙
・大きさ:四六判(図8・16参照)
・紙の目:タテ目。本文と同様の考え方です。
・厚さ:四六判の110kg
・必要枚数:
2/32×5,000×1/1,000=0.3125連
=312.5枚≒313枚
・1梱包250枚ですので,2梱包500枚を購入します。残りは保存しておきましょう。

(4)見返し用紙
B5判の前付,後付の計8ページ分。印刷はなし。
・用紙銘柄:色上質紙
・大きさ:四六判(図8・17参照)
・紙の目:タテ目。表紙と同じ考え方で。

図8・15 表紙用紙
図8・16 扉用紙

・厚さ:厚口(色上質は連量表示ではなく薄口:厚口・特厚口といった表示をします)
・必要枚数:8/32×5,000×1/1,000=1.25連
・1梱包250枚ですから,5梱包1,250枚を購入します。

(5)カバー用紙
天地B5サイズ,左右はB5の約3.3倍。カラー片面印刷。全紙で印刷。
カバーの取り方でのポイントは,他の紙同様に紙の目同様に紙の目が本の背に平行に走っていることと,折り返しは,横寸法の3分の2もしくは2分の1ぐらいを確保することです。折り返し寸法が短いとカバーがはずれやすくなるので注意しましょう。
・用紙銘柄:ミラーコート紙(キャストコート紙の商品名のひとつ)
・大きさ:A判(図8・18参照)
・紙の目:タテ目
・厚さ:四六判の135kg(A判では86.5kg)
・必要枚数:2/6×5,000×1/1,000=1.66連
天地は257ミリ(製版サイズ263ミリ),左右は背幅10ミリ(本の背幅は10ミリにカバーとしての余裕を2ミリ取る方が最良),折り返しは182ミリの64%約117ミリで,(182+117)×2=598ミリで総左右は624ミリとなり,A伴から3取,3冊分が取れます。
・1梱包250枚ですからは7梱包,1,750枚購入します。
端数買いはできるだけしない方がよいのですが,使い道の少ない色上質紙やファンシーペーパーは端数購入もやむをえないでしょう。

3.予備用紙の計算
印刷時の予備紙の数は,紙の質や印刷する版の内容,また品質要求の差によって変りますが,ページ本文の場合の一般的な考え方・計算方法を紹介しましょう。

図8・17 見返し用紙
図8・18 カバー用紙

本文以外の用紙は,印刷後の加工がいろいろある場合多いですから,工務担当者・印刷担当者と相談して決めた法がよいでしょう。
多すぎても少なすぎても困るのが予備です。少なすぎると安定的に各折りの本刷紙が確保できなくて,落丁が発生したり,受注部数が確保できないといった大問題になることもあります。また多すぎると,一般的に造本費のなかで金額の大きい用紙代がより大きくなることで,他社よりコスト高になり,得意先に不満が出てくるでしょう。印刷機もムダな仕事をすることになります。
ところが予備紙を一点一点,現場と打ち合せしたのでは手間がかかりますので,過去の実績をもとにして一定の計算方式を決めておくようにすべきです。

〔予備紙の計算方式〕
(A)印刷1色につき1%
(B)印刷するサイズ(A全,B半裁など)で,1色(1版)につき100枚
(A),(B)のうちどちらか多い方の枚数を予備枚数と考えてください。この予備のなかには,印刷の刷出しの時の予備,印刷中の予備,また,中トジ・無線トジなどの製本予備を含むものとします。
それでは実際に予備紙の計算をしてみましょう。先ほど予備紙を含まない正味連数を計算しましたが,前述の例をもとに(A)と(B)の方法で計算しますと次のようになります。

(1)本文用紙の予備紙
正味枚数は18.75連(18,750枚)ですから,
(A)方式では,18,750枚×2%(印刷表・裏1色)=375枚
(B)方式では次のようになります。半裁(全判の2分の1)で印刷しますので,表8ページ,裏16ページ分を1枚の紙で印刷できます。総ページ数が120ページですから120÷16=7.5台,つまり16ページ分が7枚(台)と8ページ分が1枚(台)となります。表裏で2版必要ですから計16版となります。
16×100枚(1版につき)=1,600枚
これは半裁の枚数ですから全判では半分の800枚ということになります。
したがって,
(A)方式では375枚
(B)方式では800枚
となり,予備紙は800枚とします。(A)と(B)ではかなりの差が出ましたが,(A)は一般的に
体部数方式,(B)は小部数方式と考えるとよいでしょう。

(2)表紙
ここでは雑誌の表紙と仮定して,B5判,表4色,裏2色,20,000部を四六4裁の印刷機で印刷する場合を考えてみましょう。
・必要枚数:
4/32×20,000×1/1,000=2.5連 (2,500枚)
2,500枚が正味枚数ですが,これに(A)式を当てはめてみますと,
2,500×6%(表4色×1%と裏2色×1%)=150枚
となります。
(B)の計算方式では,6色(表・裏で6版)×100枚=600枚
四六判全判では150枚となります。
(A)の計算方式では予備紙が四六判で150枚ですから,四六4裁では600枚となり,(A)も(B)方式も同数で,どちらで計算しても結構です。ところが,小部数の3,000部になりますと,(A)方式では23枚,(B)方式では20,000部と同じ150枚となり,(A)方式の23枚では明らかに予備紙不足となります。小部数になりますと,(A)方式の計算は不適当といえるでしょう。

4.用紙購入単位
印刷用紙は普通包み単位で購入します。1包みの枚数は紙の見本帳にかいてあります。
例えばコート紙で四六判の場合,73kg〜110kgまでは1包み250枚,135kg以上は125枚
A判では,40.5kg〜46.5kgは1包み500枚,57.5kg〜は250枚となっています。


表8.8 紙の連買いと端数買いの1枚単価の違い(例)

しかし上質紙で四六判55kgの場合は,1包み500枚になっていますので500枚以下の端数は値段が1.5倍以上となります。
ポピュラーな紙では,残紙を保存して他のものに使いますが,用途の限られたものや特殊なものは結局割高でも端数買いとならざるをえません。

5. 営業マンとしての紙の管理
紙の紙質や銘柄(メーカーでつけている紙質の名前)は数多くあり,同じコート紙・上質紙といってもメーカーによって微妙に違ってきます。紙の選定ミスや注文ミスは大きなトラブルになりかねません。そこで営業マンとしての紙の選定の際の注意点および紙の管理について述べますと,次のようになります。
(1)市販のいろいろな本を集めてできあがりの感じをつかむ。
(2)紙メーカーの紙見本帳で各社の紙質を比較して銘柄を選ぶ。
(3)紙の厚さ計(紙用マイクロメーター)で見本の本の紙厚(坪量)を確認してしよう用紙の連量を決める。
(4)選定した紙の見本を取り寄せる。
その際に次の事項も確認します。
・常備在庫の寸法,タテ目・ヨコ目の確認
・梱包数量の確認
・価格
(5)束見本を作る。
(6)テスト刷をする。
普通の上質紙やコート紙は,銘柄によって大きな差はありませんが,常時購入できるのは次の表のようにごく少数の紙で,他の連量のものは事前に在庫を調べる必要があります。
表8・9以外の紙は,連量や,タテ目・ヨコ目など希望に合ったものが在庫切れになることが多いようです。
表8・9の寸法,連量の紙でも,メーカー(銘柄)を指定すると在庫がない場合もあります。
巻取紙は枚葉よりも常備在庫の銘柄が少ないのですから,印刷の1ヶ月前ぐらいに注文しておくのが普通です。

表8・9 いつでも購入できる用紙

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この「印刷技術情報」に掲載している内容は,JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」,「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。現場で実際に起こっている問題に対しての具体的な対応策が示されていますので,多くの方々の参考になると考え公開しました。

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