ハイデルベルグ/「スピードマスターXL105」「スープラセッター105」そして,乾燥促進技術の組み合わせを 吉田印刷所 吉田和久社長に聞く

株式会社吉田印刷所(本社:新潟県五泉市,代表取締役社長:吉田和久)は,新潟県中央部にある五泉市で大正9年に創業した老舗でありながら,常に業界を先取りするユニークな取組みを行っていることで知られています。そんな同社が,この春導入したのが『ハイデルベルグスピードマスターXL105-4』菊全寸伸び判4色機と,『スープラセッター105』サーマルCtP レコーダーです。この組み合わせで,8色両面兼用機に勝るとも劣らない生産性を上げているという吉田社長に,その秘密をうかがいました。


■8 色機に匹敵する『スピードマスターXL105』のコストパフォーマンス

同社が『スピードマスターXL105-4』を選んだ最大の理由は,その圧倒的なスピードです。「XL のいいところは,まず18000 回転のスピード。当社では,1000 枚の小ロットでも18000枚/時の最高速で回すことを徹底している。このスピードに,水をぎりぎりまでしぼる「乾燥促進技術」を使えば,1000 枚の4 色裏表を30 分で仕上げることも十分可能だ」乾燥促進技術とは,ローラーの念入りなメンテナンスとH 液原液を使った被膜などにより,湿し水を最小限にしぼる技術のこと。吉田社長によれば,この手法の実現にはハイデルベルグの湿し水技術が必要で,しかもSM シリーズ,CD シリーズなどに使われているアルカラーより,XL105 に初めて搭載されたハイカラーのほうがさらに水をしぼることができ,乾燥も速いとのことです。

「両面印刷でも,間違いなく2 時間後には断てる。XL105 ならB 全ポスターの印刷も可能だが,このような片面印刷であれば,300 パーセントぐらいのベタでも30 分で断裁に回すことができる」つまり『スピードマスターXL105-4』は,そのサイズや印刷品質だけでなく,生産性の面でももっと注目されるべきだというのです。

「XL は,小ロットの仕事なら,少なくとも8 色機と同等程度の生産性は実現できる。これまで両面であればすべて8 色機という選択だったが,いまは,極力XL に回すようにしている。しかも「どんてん」で刷るなら4 版で済む。その意味では,8 色機より効率がいい。いくらXL が高価とはいっても,胴が少ないぶん8 色機よりは安い(笑)。今後は,小ロットの生産性を高めるためにXL を入れるという選択肢も出てくるはずだ」スポーツカーで例えるなら,誰もが憧れるあの高級車「フェラーリ」に例えられ,高級印刷機の代名詞となっていたハイデルベルグの『スピードマスターXL105』は,じつは小ロット印刷を効率よくこなす「儲かる印刷機」でもあったことを吉田印刷所は実際に証明して見せたといってもいいでしょう。


■印刷オペレータが操作できる『スープラセッター105』

『スピードマスターXL105-4』の高い生産性を,さらに向上させているのが同じハイデルベルグの『スープラセッター105』です。同社の工場を訪れた人は,このCtP がXL105-4 のわずか5,6m先に,なんの囲いも設けず置かれていることに驚くに違いありません。
「これまで他社のCtP を使ってきて,特に品質面で不満があったわけではないのに,今年スープラセッターを導入したのは,'CtP を印刷の現場に置きたかった'からだ。印刷現場で,印刷機のオペレータが仕事の段取りに合わせて,自分で必要な版を出力する体制を作りたかった。ふつう印刷会社では,刷版は印刷工程の段取りに関係なく,プリプレスからトコロテン式に降りてくる。当社のように印刷機のサイズがバラバラだと,版の互換性がなく,仕事の段取りを変えるときは再出力しなければならない。印刷オペレータが印刷機のすぐ隣にあるCtP で出力できれば,ギリギリまで待てるから,そういうムダは解消される。間違いなくこの印刷機で印刷すると確定してから,刷版を出力すればいいのだから」ただ,もちろんどんなCtP でも,どんな工場環境下でもこの体制が実現できるわけではありません。

「たぶん印刷現場に置けるCtP は,現在のところハイデルベルグの『スープラセッター』しかないのではないか。恒温装置を持たない他社のCtP は,適応できる外気温の幅が狭く安定した品質の版を出力するのは難しいだろう。他社のCtP は,いわば 箱入り娘 だ」また,同社の乾燥促進技術もこのユニークな体制の構築に大きな役割を果たしています。この技術により乾燥が速くなった結果,パウダーの使用量そのものが大きく減っているからです。
さらに同社ではXL105 のプリネクトCP2000 センターと『スープラセッター』を『プリネクトメタディメンション』で結び,印刷機オペレータがCP2000 センター,つまり印刷機のコンソール上でCtP を直接操作する環境を実現。『スープラセッター』専門のオペレータなしで,印刷機オペレータが臨機応変に刷版を出力する効率的な工程を作り上げることに成功しています。しかも,『スープラセッター』と『スピードマスターXL105-4』はわずか数歩の距離にあるのですから,工程の時間的短縮効果は計り知れません。


■印刷の概念を変えた『スピードマスターSM102-8-P』8 色両面兼用機

吉田印刷所にとって,現在の『スピードマスターXL105-4』+『スープラセッター』に匹敵する過去のイノベーションとして記憶されているのは,平成11 年の『ハイデルベルグスピードマスターSM102-8-P』菊全判8 色両面兼用機の導入でした。その2 年ほど前から,小ロット・プロセス4 色印刷への特化を目指した取組みを始め,製作部門,営業部門を廃止するなど工程の徹底した効率化による「純・製造業化」を推し進めていた同社は,印刷工程の効率化の要としてSM102-8-P を選んだのです。

「当時はまだ,8 色両面機に対して否定的な見方が一般的だった。しかし,人がダメだということをやるのが私の信条(笑)。CtP も平成7 年に入れた当時は,使いものにならないという意見が大勢だったが,いまでは主流となっている。SM102-8-P も,小ロットの両面カラー印刷をやるためにはワンパスが不可欠だと考えたからだ。
事実SM102-8-P は,4 色機3 台分くらいの生産性を上げており,工程カットによるコストメリットはいまも大きい」

同社では,このSM102-8-P にも乾燥促進技術を採用。これまで翌日回しになっていた断裁・出荷を,朝刷って午後断裁し,夕方出荷できるまでに短縮することに成功しました。もちろんパウダーの使用量も半分以下に削減。これによる工場内環境の改善は,『スープラセッター』の印刷工場設置だけでなく,ここで働くスタッフにとっても,健康面,清掃などの作業面で大きな改善効果をもたらしています。


■再び印刷の概念を変える『スピードマスターXL-105』+『スープラセッター』

吉田印刷所は,確かに他の印刷会社とはかなり違ったユニークな経営スタイルを採用しています。しかし,日々こなしている業務そのものは,一般の印刷会社と大差はありません。日々のメンテナンス,効率化への挑戦,コスト削減への努力。ただ,少し違っているとすれば,そのそれぞれにひたむきに徹底する姿勢でしょう。
そして,そんな同社のひたむきさに,技術で応え,サポートしてきたのがハイデルベルグです。
「トータルにすべてハイデルベルグの製品でそろえるのは,ちょっと抵抗はある(笑)。しかし,印刷機はやはり国産メーカーと比べたら雲泥の差。『スープラセッター』と『スピードマスターXL-105』との連携なども考えると,ハイデルベルグの全体最適というコンセプトは確かに魅力的だ」吉田印刷所の成功は,ハイデルベルグが過去から現在に至る歴史の中で目指してきたソリューションの最良の成果の一つであることは間違いありません。


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